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株式会社静科

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    研究機関の摩擦・摩耗試験装置用の騒音対策~「一人静タイプL薄型」を使った防音ボックスを製作

    こんにちは、製造部岩崎です。

    先日仕事の都合で福島の方に伺いました。帰りに道の駅に立ち寄り、ピオーネという品種のぶどうを購入したのですが、大振りで甘みと酸味のバランスもよくとても美味しかったです。更にこちらのスーパーで買うものよりも断然安く買えるので、これからも地方に寄った際には道の駅で特産品を買いたいなと思いました。

    さて、本日の記事では「摩擦・摩耗試験機用の防音ボックス」の製作事例をご紹介したいと思います。

    摩擦・摩耗試験機について

    摩擦・摩耗試験機とは、摩擦や摩耗特性を測定する装置のことです。この装置の仕組みとしては以下のようになります。

    試料をディスクの上に載せ、試料表面にボールを配置し、ボールの上から錘による荷重をかけ、ディスクを回転させます。こうすることでボールと試料表面に摩擦力が発生し、センサーが摩擦力を測定します。負荷した荷重で摩擦力を除くことにより摩擦係数が分かる、というものです。

    最近の測定装置は高性能化と高速化が進んでいるようですが、一方でそれに伴って発生する騒音が問題となっているというご相談も増えてきています。

    試験装置の騒音低減用にオーダーメイドで防音ボックスを製作

    今回は研究機関内で使用している摩擦摩耗試験機の騒音を低減する目的で、防音ボックスの製作を行いました。防音ボックスの仕様は以下のようになります。

    • サイズ感およそ80cm×80cm×100cmの6面体防音ボックス
    • パネルには「一人静タイプL薄型」(厚さ約4cm)を使用
    • 正面と背面に片扉
    • 内部確認用の覗き窓付き
    • 通常の配線出し入れ口に加え、管用テーパネジをパネルに埋め込むことで外部と内部のアクセス可能

    パネルにはカタログに記載していない「一人静タイプL薄型」を選定しております。こちらは「一人静タイプA」に重量を増すことで遮音性能を高めたパネルで、似た仕様であるタイプL(厚さ約7cm)と比較すると3cmほど薄いのが特徴です。厚みが減る分吸音性能は「一人静タイプL」に及びませんが、遮音性能はほぼ同等なので周囲のスペースがあまりない場合などに「一人静タイプL」の代わりに使用することができます。

    加工オプションとしては割とシンプルで、正面と背面の片扉、覗き窓、音漏れしにくい配線出し入れ口が取り付けられております。更に今回のボックスの側面パネルには管用テーパネジが埋め込まれており、内部と外部間の接続が可能となっています。

    全体の重量はパネルの種類を「一人静タイプL薄型」にしている分、「一人静タイプA」より少し重くなっており、力のある成人男性2人でぎりぎり持ち上げられるくらいの重さです。

    約15~20dB程度の低減効果を観測

    社内実験にて音源(約85dB)を内部に入れて測定したところ、ボックス外部の音が65~70dB程度となり、15~20dBの低減となりました(周波数帯によって変動)。20dB音が低減すると人間の体感では4分の1になったと感じることができるので、大きな低減効果を感じる事ができました。

    実際の摩擦試験機は空気伝搬音だけでなく振動音も発する機械なので、多少実測値とは異なる可能性もございますが、床面にマット(できれば振動抑制タイプのもの)を敷くことで対応することも可能です。

    今回は外部への騒音対策としての導入でしたが、ボックスの内部も吸音効果によって静音されるので、機械が自身へ与えてしまう音の影響も軽減でき、副次的な効果も得る事ができます。

    防音ボックスには正面と背面に片扉が設置されています。

    試験装置の防音を検討されている方は、是非ご参考にしていただき、お気軽に騒音相談WEBツールよりお問い合わせいただけますと幸いです。