窓部材(ポリカーボネート・硝子材)の性能の比較~等価騒音レベル・重量・周波数帯で検証
みなさんこんにちは、製造部の横山です。
先日、ふるさと納税の返礼品を探すためにネットサーフィンをしていました。ここ数年、様々な返礼品を頂いてはいたものの、良いと思えるものがなかなか見つからなかったのですが、実家ではおせちにさほど拘りがないこともあり、今回は、正月に食べるおせちの返礼品を頂こうと思いつきました。冷凍のようですが、評価もよく、おせちの準備がなくなると思えばかなり良いのではと期待しております。
余談はここまでにして、今回は、弊社が窓部材に活用している各部材の性能比較を改めて行いましたので、ご紹介したいと思います。
窓部材に採用することが多いポリカーボネートについて
弊社では、お客様のご要望に合わせた防音パネルやカバー等を製作する際に、メンテナンスや危機管理の面から、窓加工を依頼、又はご提案させて頂くことがしばしあります。基本的に、可視窓として使用する部材は、「ポリカーボネート」を採用しております。
ポリカーボネートのメリットとして、よく挙げられるものは下記の通りとなります。
メリット
- 透明度(可視光線透過率85~90%)
- 衝撃耐性(プラスチック類の中で最高レベル、またガラスと比較すると約200倍)
- 耐熱性(約-40℃~約120℃)
- 耐候性(紫外線や湿度による劣化が起こりにくい)
- 難燃性(自己消火性を兼ね備えている)
様々なメリットがありますが、デメリットもやはりあります。お客様の現場にて、デメリットが起こり得る可能性がある場合は、アクリルや硝子材の代替案をご提案しております。
デメリット
- 有機溶剤や界面活性剤に弱い(付近で使用する場合変形の恐れあり)
- 傷が付きやすい(透明度があるが、傷で視認性が損なわれる)
- アクリルと比べると価格が高い
様々な視点での性能比較
窓部材と防音パネルを比較する為に、自社防音室内に300角の簡易無響箱を置き、箱内に騒音源となる防犯ブザーを設置、フタ部分には300角の窓部材と防音パネルのパターンを作り、測定比較を行いました。
測定部材として基本となる「一人静 タイプA」と、窓部材での使用頻度が高い「ポリカーボネート」のほか、硝子を用いて窓加工を行う際に使用する各硝子にて測定を行いました。本測定の注意点として、騒音源に防犯ブザーを使用した為、高音域帯が大きいという点があります。
等価騒音レベルによる測定比較
測定の結果(下記の各表参照)ですが、タイプAの性能が一番高く、その次がフロートガラス(約2dB性能ダウン)になりますが、ポリカーボネートや他硝子材と比較しても、性能差は+0.5dBとほぼ差がない結果となりました。やはり、防音パネルに窓加工を行うと少しばかり性能は落ちてしまいますが、大きく性能が下がることはないことが分かります(表にあるdBは等価騒音レベルにて記載をしており、等価騒音レベルとは、各周波数の平均値となります)。
重量の比較
重量を比較すると、タイプAとポリカーボネートは重量差がほぼありませんが、硝子類との比較になると、最小厚さのt6.0mmから、タイプAとほぼ同重量となっています。
周波数帯による比較
各周波数帯を比較すると、上記の等価騒音レベルによる結果と同じように、基本的には、タイプAが性能を発揮している周波数帯が多くありますが、タイプAよりも、他部材のほうが性能が良い周波数帯も若干見られ、また、600hz~1000Hzの範囲においては、タイプAやポリカーボネートよりも、硝子類が共通して性能が良いという点も分かりやすく現れています。
測定比較から分かったことや着眼点について
測定比較からは、お客様の現場周囲の状況や、現場のルール、視認性や騒音源の周波数帯から、状況に合う部材提案を行うことが重要だと分かります。
また、騒音源の音が、低音域では小さく、中音域から高音域にかけては大きくなっていることがグラフからも分かる点が、今回の測定比較の着眼点になります。防音を行う際は、対策する音が大きいほど、音を下げやすいことや、低音域帯の音に対しては、質量則から重量が大きいほど効果が現れやすいことからも、硝子類は低音域に有効である可能性が高いと推測することもできます。
ソノグラス(防音ガラス)は、特殊中間膜にて振動を熱エネルギーに変換するという特徴がある為、低音域での騒音値が高い場合により効果が現れやすく、カタログ値ではフロートガラスと比較して、4dBほど性能が高い特徴があります。またソノグラスのもう一つの特徴に、中間膜にてガラス破損時に飛び散りにくい性質もあります。
今回は、弊社が活用している窓部材についてご紹介させていただきました。弊社は、現場状況や騒音対象物に応じて防音対策をご提案をいたします。些細な事でも構いませんので、まずはご相談頂ければと存じます。騒音相談WEBツールより、ご気軽にお問い合わせください。