防音材として優れた素材は何か~耐食性などの観点からアルミ・鉄・ステンレスを比較
こんにちは、製造部岩崎です。
弊社の防音材は表面に使われる素材がアルミでできているものが多いのですが、今回の記事では鉄、アルミ、ステンレスそれぞれの金属について、「耐食性」を含む性質の面についてお話したいと思います。
耐食性とは
耐食性とは、その素材が持っている「腐食や錆への耐性」のことを表します。「耐蝕性」という言葉もありますが、一般的には耐食性とほぼ同じ意味です。
金属が酸化することで錆は発生し、錆が更に進行すると金属の質を低下させます。錆や腐食が進んだ金属は放置しておくと耐久性が下がり安全に使用できなくなります。そのため、金属は耐食性を基準にしていくつかの種類に分けられています。
腐食や錆が起こりやすい環境
一般的によく言われるのは、水や湿気を帯びやすい環境が腐食や錆を発生しやすい環境であるということです。特に、海水は真水より錆の進行を早くする作用があるため、海塩粒子が飛来する沿岸では対策を施していない構造物はすぐに錆に覆われてしまうでしょう。
また、特殊なケースでは火山・温泉地の近くや、鉄粉が舞い上がりやすい産業地帯なども、通常の内陸部よりも腐食が起こりやすい環境です。
アルミ、鉄、ステンレスを比較
代表的な加工金属であるアルミ、鉄、ステンレスを比較してみます。
耐食性
鉄<アルミ<ステンレス
鉄:耐食性は低く、空気に触れると酸化して赤錆が発生します。防錆処理をしないとすぐに錆びてしまうため素材故、様々な方法で錆止めが実施されます。
アルミ:酸素と結合して酸化皮膜を作るため、非常に錆びにくい素材です。酸化皮膜はアルミを傷などから保護する役割も果たします。
ステンレス:鉄にクロムを混ぜることで、表面に不動態皮膜と呼ばれる膜を形成します。 クロムは鉄よりも酸素に結び付きやすい特性から、鉄が酸化するよりも先にクロムが酸化し、酸化皮膜となって表面を覆います。
重さ
アルミ<ステンレス<鉄
アルミは比重が小さく、非常に軽い金属なのに対し、鉄は比重が大きく重くなります。
強度
アルミ<鉄<ステンレス
アルミは強度的に他の2種には敵いませんが、加工がしやすく取り回しがいいというメリットがあります。
価格
鉄<アルミ<ステンレス
鉄やアルミが安価なのに対し、ステンレスはやや高価になるケースが多いです。
防音材「一人静」には総合力で勝るアルミを採用
上記を見て頂くと、耐食性に優れ、軽く、加工性が高く、ステンレスよりも安価なアルミは総合力の観点で防音材に適した素材であると言えます。
静科の「一人静シリーズ」は複数の素材を合わせた多層構造の防音パネルですが、表面と裏面にはそれぞれ特性の異なるアルミ材を使用しております。表面は音を吸収するためにアルミメッシュ、逆面には音を遮断するためのアルミ板を使用しております。
パネルに使用しているアルミは高純度のため錆や劣化しにくくまた、耐候性があるため屋外屋内問わずの利用が可能です。特に、塩害の予想される沿岸付近でも安心して使用できるのは大きな利点ではないでしょうか。
屋外や腐食しやすい環境での長期利用をお考えの方にもおすすめの防音材ですので、ご興味のある方は是非ご検討ください。