【不動産管理会社・管理組合様向け】室内の遮音性能検証の流れ
こんにちは、ソリューション事業部の植木です。今回は、防音マンションや防音室など、高い防音性能が完備されている住宅にお住まいのお客様の事例を紹介させていただきます。
「防音室付きマンションを購入したのに音が聞こえる。本当に防音なのか?」
という場合の、測定方法になります。
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遮断性能を表す基準値『D値』
近年、防音室付きマンションや高い遮音性能を謳った部屋が増えております。職業柄での使用や楽器等の演奏を目的にしたり、資産価値の高まりから導入されるお客様も多くなっております。しかし、防音というと、まったく音が聞こえない、音が入ってこない空間をイメージしますが、実際には防音室毎に性能を確認し『D値』を提示しているものを『防音室』と呼んでおります。
『D値』とは、周波数ごとに分析した遮断性能を表す数値です。このD値の値が高いほど防音効果が高くなります。極端な話ですが、このD値の基準を満たしていれば、どのような部屋も『防音室』と言えてしまいます。
室内の遮音性能の測定方法
室内の遮音性能の測定方法は、JIS A1419「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法」に準拠します。対象となる室内に、騒音源を発生させ、室外での差を求めます。例えば、室内で100db発生しさせ、室外で60dbになっている場合は、40db遮音していることになります。
ただし、一つの項目(例えば500Hz)で測定を行うのではなく、6帯域の周波数を発生させ、各周波数の遮音値を基に、D値のグラフにあてはめていきます(6周波数帯は125、250、500、1000、2000、400Hzになります)。下記の画像のデータは、実際に測定を行った際の各遮音性能とD値にあてはめております。
1つの周波数帯を満たしていても、他の周波数帯を下回っている場合、D値は下回り、①の界壁はD-50(約50db遮音)、②の窓サッシはD-30(約30db遮断)という値が出てまいりました。このD値を基に、下記『日本建築学会による等級の目安』も提示されておりますので、測定を行うことでD値と等級を求めることができます。
等級を見ていただくと、集合住宅の特級と戸建て住宅の特級では、D値が異なることがわかります。集合住宅の場合はD-55、戸建ての場合はD-45と、同じ特級でも約10dbの差が発生しておりますので、同じ特級仕様で選んだとしても、集合住宅の方が遮音性能が高いレベルを求められていることになります。
弊社は室内の騒音測定サービスを提供しています
また、室内の防音性能の場合、各部分の遮音性能はメーカー側で取得していても、実際に部屋にした場合に遮音性能が落ちるケースもあります。壁はD-50の構造、ドアはD-30の性能の組み合わせもあるため、各部材の性能値が測ってあったととしても、実際の組み合わせや施工方法が重要となります。静科では、対象となる各部屋の測定も行っておりますので、何か不明な点があれば「騒音相談WEBツール」よりご相談くださいませ。
なお、D値は目安となるグラフにあてはめることで数値を出すことができますが、体感上での聞こえ方は各個人差が出てきます。また、125Hz以下はグラフには当てはめないため、低周波(100Hz以下)の騒音が問題の場合はm別の測定方法にて対応をしております。こちらはまたの機会に記載をしたいと思います。