超音波溶着機の騒音対策~上下分割式の5面体防音カバーを製作
こんにちは、製造部の岩崎です。
先月自転車のタイヤが二度もパンクしたため、何か厄除けでもしようか真剣に考えてしまいました。スローパンクと呼ばれるゆっくりと空気が抜ける現象らしいのですが、修理費が安く済んだのが不幸中の幸いでした。最近はパンクしないタイヤというものもあるらしいので、次回買い替える際にはいろいろと検討してみたいと思います。
さて、本日の記事では「超音波溶着機用防音カバー」の製作についてお届けしたいと思います。
超音波溶着機とは
超音波溶着機とは、超音波振動エネルギーを利用してプラスチックの二次加工をする機械のことです。
ホーンと呼ばれる金属の共振体から伝達された超音波振動はプラスチック内を伝搬し、接合面にて発熱し、プラスチックが溶解し、接合されます。プラスチック以外にも金属どうしの溶着にも使用することができます。
特徴としては、溶着面の汚れを気にせずに溶着できる点、通常数秒以下で溶着できるので乾燥冷却時間が短い点、仕上がりがきれいでムラがない点などが挙げられます。
また、溶着だけでなく、プラスチックのかしめ、不織布などの溶断・切断、フードカット、パッケージ加工などにも使用でき、様々な製造分野で使用されております。
上下分割式の5面体防音カバーを製作
この度はこちらの超音波溶着機の静音化のご要望を承りました。
モーターやコンプレッサーなど振動に由来する騒音を発する機械はたくさんあります。超音波溶着機も振動する以上は音を発生させますが、防音カバーで周囲を囲うことで騒音の軽減が可能です。
実際に製作した防音カバーの主な仕様は以下のようになります。
- 上下分割式の5面体防音カバー
- パネルには幅広い周波数帯で吸音遮音効果を発揮する「一人静タイプA」を採用
- 正面に片開きの扉(簡単に取り付けできる抜き差し蝶番を使用)
- お客様の方で様々なカスタマイズができるよう、パネルの表面に複数のインサートを埋め込み
大きな特徴としては、お客様のご希望(輸送やメンテナンスの観点)により、カバーの上部が分割で取り外せる仕様になっている点です。ドライバーで一部のビスを外すことで簡単に着脱が可能なので、メンテナンスや機材の出し入れ時などに対応可能です。
上下分割でパネル数が多いため、通常の5面体ボックスよりは多少時間がかかりますが、組立は30分程度で行うことができました。
防音効果については社内実験にはなりますが、84dBの音が66dBまで低減致しました。周波数帯によっては20dB以上の低減も見られ、体感としては3分の1から4分の1くらいまで音が下がった印象でした。お客様の方での実際の設置はこれからのようなので良い結果が出ることを期待しております。