DIYで手軽に防音ボックスを製作する方法~内側は吸音・外側は遮音が重要
こんにちは、製造部のIです。
今年は雨が降る日が例年より多い気がします。普段自転車に乗ることが多いので基本的には雨は苦手なのですが、部屋の中でシトシトと降る雨の音を聞くのは嫌いじゃないです。過去の記事「リラックス効果のある音〜1/fゆらぎの効果〜」でも紹介したようにリラックス効果のある周波数だからでしょうか。ただ、これから台風が多くなる季節になりますし、最近の異常気象も相まり、そうも言ってられなくなるかもしれません。
さて、今回の記事では「手頃(安価)に作れる防音ボックス」について考えたいと思います。
DIYで防音ボックスを手軽に安価で製作
通常、防音対策は費用対効果が大きく現れるものであり、お金を掛けたほうが当然防音効果が高くなる傾向にあります。大型の防音部屋や防音ブースの相場は100万円を越えることもざらです。ただし、中には多少性能に劣っても手軽で安価に防音ボックスを使いたい、という方もいらっしゃるかと思います。
ホームセンターで手に入る素材でも、工夫すればそれなりの防音効果を得ることはできます。まずは防音の仕組みを理解するところから始めましょう。
防音に必要な2大要素~吸音・遮音
過去のブログにても何度もご紹介させて頂いておりますが、もう一度おさらいの意味で防音に必要な要素「遮音」「吸音」についてご説明致します。
「遮音」とは、文字通り音を遮る力のことです。外に音を通さないことや音を跳ね返すイメージです。鉄板や鉛など重い物ほど効果がありますが、一般的には手に入りづらく加工性もありません。手軽で扱いやすいものですと石膏ボードやベニヤ板、遮音シートなどがあります。
「吸音」は、音を吸いこみ反射させないことを差します。音が吸音面にあたると熱エネルギーなどに変換されることで力が和らぎ、反響を抑える効果があります。ホームセンターなどで入手しやすいものではウレタンスポンジやグラスウールがあり、また、少し扱いにコツがいりますが有孔ボードなども吸音効果がある素材になります。
それぞれ異なる特徴をもつ素材ですので防音を考えるときには頭に入れておく必要があります。
ポイントは『内に吸音材・外に遮音材』と組み合わせを駆使すること
遮音のみを行うことを考えた場合、例えば頑丈な鉄板で防音ボックスを作ったとします。鉄板には吸音する効果はほぼないため、内部で発生した音は反響するごとに増幅し、下手すると対策前よりもうるさくなってしまう、といったケースも考えられます。
逆に吸音のみで考えてしまうのも問題です。吸音材自体には音を遮音する力はそこまでないため、吸った音は素材を透過してきます。ある程度は低減されるでしょうが、「音を聞こえづらくしたい」と期待しすぎると効果がさほどなく、がっかりしてしまうかもしれません。
ところが、この2つの素材は組み合わせることで高い相乗効果を発揮します。音を吸ってから遮断することで、音を外に逃がしにくくしてくれるのです。
その際に特に重要な点が、音が最初に当たる面に吸音材を持ってくることと、その背後をカバーするように遮音材を使うことです。
遮音材(アルミ板)と吸音材(Esprit Life)を組み合わせた小型の防音ボックス
ここで、社内で制作した小型の防音ボックスを例にご紹介したいと思います。上記の写真は遮音材(今回はアルミの板を使用)に一人静Esprit Lifeを貼り合わせただけの防音ボックスになります。
Esprit Lifeはスポンジのような表面になっており、男性の話声くらいの低めの音に効果的な吸音材です。背面がノリ仕様になっているため、フィルムを剥がして簡単に取り付けすることができます。また、カッターで簡単に切れるので自由にサイズを決めることができるのも利点です。
作り方も簡単で、アルミ板を6面カットして接着剤で張り合わせることでサイコロのような型をつくったのちに、内部に必要サイズにカットしたEspritLifeを張り合わせるのみです。先程ポイントにあげた通り、音が最初にあたる内部側に吸音材であるEspritLifeをもってきています(今回は蓋となる部分も遮音+吸音仕様にしましたが、より安価に済ませたい場合は遮音のみでも十分です)。
使った素材はそれだけで、工具もカッターと市販の接着剤があれば十分制作可能です。
こちらは試作のボックスでしたが、目覚まし時計を入れて試験測定したところ、80dBの音が67~69dBくらいまで下がりました。一人静タイプAを使用するよりはもちろん効果は落ちますが、体感で半分以下になったので上々の出来でしょう。
今回はアルミ+Esprit Lifeの組み合わせでしたが、アルミは石膏ボードやベニヤ板などの硬質な遮音材であれば代用が可能ですし、吸音材に他の素材を使ってみるのもありです。組み合わせ次第ではまだ見ぬ驚きの効果が発見できるかもしれませんので、皆様も機会があれば是非色々とお試しください。