冷却水ポンプの騒音対策~一人静タイプDの防音カバーで熱対策
こんにちは、製造部Iです。
今年もプロ野球のドラフトのシーズンがやってきました。コロナで甲子園が中止になったこともあり、予想がより難しくなりましたね。また、指名はコロナ対策で12球団が個室に分かれて行い、重複した場合は代表者が抽選会場の部屋に集まってクジを引くというルールでした。色々な意味でいつもとは違ったドラフト会議になりました。
さて、本日の記事では「冷却水ポンプ用防音カバー」をご紹介したいと思います。
冷却水ポンプとは
冷却水ポンプはモーターや圧縮機に使用されることが多く、圧縮機を経て高温になった空気(ガス)を通常の外気温程度まで冷ますための機械です。水冷式のポンプは空冷式に比べ冷却効率に優れていて、クリーンで高性能なチラーと言えます。高温の空気を手軽・安価に冷却できるため、大規模な工場や商業設備で良く用いられています。
冷却水ポンプ騒音の原因
ポンプによる騒音の主な原因は空気伝搬音です。ポンプ内に圧力変化が発生し、本体や配管を通じて外に向かって空気伝搬音が放射されます。空気伝搬音は距離減衰によってある程度離れた場所では騒音レベルが小さくなりますが、設置場所や周囲の環境(反響しやすいなど)によっては騒音対策が必要になってきます。
今回は対策として、防音カバーで機械の周囲を覆い込むという手段を用いて騒音の低減を行いました。ポンプに関する防音事例は過去のブログでも多岐にわたりご紹介させていただいております。
ポンプ用防音カバーの仕様
上記の写真が今回製作した防音カバーの外観になります。こちらの防音カバーでは、機械の発する熱を考慮し、パネルに「一人静タイプD」を使用しました。タイプDはパネルの内部にアルミハニカムを組み込むことで、放熱性をより高めた吸音材兼遮音材になります。それに加え、前後に吸気排気用の開口穴とファンを設けることで換気を促し、カバー内で熱が籠ることを防いでおります。
写真の前方に2つある、カバー本体から飛び出している物体は開口部用のサイレンサーになります。換気用の穴を開けるということは当然、音の抜け道を作ってしまうことと同義ですが、サイレンサーを設置することで音漏れを最小限に食い止めることができます。
上部と正面には配管を通すための開口が設けられています。パネルを2分割して配管を挟み込むようになっているので、既存の機械を移動せずとも設置が可能です。また、天板部分は必要に応じて取り外しができるように蓋を被せるような仕様になっており、機械の様子を確認したりメンテナンスがしやすいよう工夫されております。
カバーの組上げ自体、ドライバーとビスで連結するだけなので大掛かりな工事も必要なく、お客様の中には施工費を節約するためにご自身で設置を行うケースもございます。
このように、静科では騒音源の形状、設置環境、お客様のご要望に応じて最も適切な形での防音製品をご提案・製作・施工できるよう努めております。防音対策のご相談から製品の納品までの流れについては下記ブログでも詳しく記載しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。
※過去記事①「工業薬品の生産工場の真空ポンプ用防音ボックス~お問い合わせから納品までの流れをご紹介」
※過去記事②「室外機用のスライド式遮音壁を例に施工までの流れをおさらい」