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株式会社静科

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    2018-06-15

    吸音率データの違い~残響室法吸音率と垂直入射吸音率

    製造部②号です。

    先日、祖母の卒寿のお祝いをしました。卒寿とは90歳のことを指し、卒の略語である「卆」が「九十」に分解できることが、言葉の由来です。卒寿のお祝いのテーマカラーは紫色なので、紫色のちゃんちゃんこを着てもらい、紫を基調とした大きな花束を贈りました。自分が90歳まで生きていたらどんな感じなのだろう、と想像してみましたが、まったくイメージがつきません。自分も祖母の長寿にあやかり、いつまでも健康な生活をおくりたいと思います。

    さて、今回は「残響室法吸音率」と「垂直入射吸音率」のお話をしたいと思います。

    吸音率とは

    一般的に、音響材料の吸音特性を示すのには「吸音率」が使われることがよく知られています。吸音率は、入射した音のエネルギーに対して、反射しなかった音のエネルギーの割合を表します。 吸音率は一般にαで示され、0~1までの値をとります。値が大きければ大きいほど反射しない=吸音性能が高い素材であると言えます。

    残響室法吸音率と垂直入射吸音率

    吸音率がどのような条件で測定されたものであり、どのような意味を持っているかを知ることは、我々のような、音響材料を生産する者だけでなく、それを使用されるお客様にとっても重要であると言えます。材料の吸音率は、音が入射する角度によって変化し、また測定方法により吸音率の値は異なります。

    吸音率を測定する方法としてよく使われているのが、「残響室法」と「垂直入射」の二つです。

    残響室法

    「残響室法」では、残響室と呼ばれる壁面などの音の吸収を抑えて、長い残響が生じるように設計された音響実験室を用いて測定を行います。残響室内に試料を配置した時と、空室の場合の吸音力の差から算出する事で、あらゆる方向からの音に対する、総合的な吸音率を測定することができます。室内の残響調節や騒音制御に、何かしらの音響材料を使う際、その設計資料として必要になるデータは、この残響室法吸音率であると言えます。

    垂直入射法

    一方、「垂直入射法」は、材料に音が垂直にあたる時の吸音率を示すものです。このような音の入射条件を得るために、測定の際には音響管と呼ばれる、長い管を使った測定方法を用います。こちらは残響室法に比べ、大型の測定装置は必要とせず、試料が少量で済む事も特徴としてあげられます。簡易的で測定がしやすい反面、音の入射条件や試料面積が小さいために、測定できる構造に制限があり、測定データがそのまま設計資料などに使えないことは、注意しなければなりません。

    弊社の『一人静シリーズ』もJIS規格に準じて吸音率データの測定を行っております。各吸音率データにつきましては、下記よりご確認ください。

    関連ページ:工場や機械の騒音対策用防音パネル「一人静 タイプA」

    ※なお、弊社WEBサイト上では、残響室法による吸音率データを記載しております。垂直入射に関するデータがご入用の際は、お手数ですが、騒音相談WEBツールよりご連絡ください。

    関連ページ:騒音相談WEBツール